なくしたものを探して〜とりあえずやってみました

体験主義で、実際に体験した内容と、実はよく知らないので人に聞くのが恥ずかしい、という内容について調べてみたことをもとに書きます。

Kindle安売り漫画の紹介3

time 2020/11/21

Kindle安売り漫画の紹介の続きです。
Kindle安売り漫画の紹介2も合わせてお読みいただけます。

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ジョー指月、あおきてつお「緋が走る」

スーパージャンプで連載されていた陶芸マンガです。
なかなか渋い題材ですが15巻も続いたヒット作で、ドラマ化もしました。続編も9巻まで出ました。

タイトルの「緋」とは焼き物の表面に浮かび上がる鮮やかな赤色のことを指しており、主人公の松本美咲という女性は父親の後を継いで自分の陶芸作品に緋を走らせることを目標としています。

ただ陶芸一本で若い女性が食べていくというのは並大抵のことではなく、序盤は他の師匠の元で住み込みだったり、名を上げるためにコンペで他の陶芸家たちとの勝負に挑んだりと、緋を追うだけでなく様々な試練が待ち受けています。

美咲自身の創意工夫とひたむきさによって次々と難関をクリアしていくところが特に面白いです。コンペで他と争っている話はいずれも楽しめました。逆に終盤は本格的に緋を走らせることのみに苦心するパートになりますが、そこになると若干こちらにわからない謎解きの要素が強くなってきて、付いて行きづらくもありました。

この主人公の松本美咲が個人的にはかなり好みでした。マンガの絵柄は年代相応ですがかわいく、さらに性格もよく健気に様々なことに取り組んでおり、読んでいて応援したくなりました。

神田たけ志、安藤昇、向谷匡史「実録安藤組」

実在した伝説のアウトロー安藤昇の半生を描いた劇画マンガです。
戦時中に徴兵された際のエピソードから、戦後に暴力団で名を立てていく過程が描かれています。安藤氏は本作の原作を担当していますね。

私はその世界に詳しくありませんが、話としてはわかりやすいです。ヤクザのしきたり関係や当時の裏の有力者についても割と説明があって、特に予備知識がなくても困ることはありませんでした。

前半の仲間が次々と集まってきて安藤軍団が形成されていくあたりが特に読んでいて面白かったですね。やはり生き死にの話も多いので、どうしても話が進むにつれて馴染みとなっていた登場人物が死んでいくエピソードも増えてきて寂しさを感じます。

ヤクザもののマンガを読む機会が増えましたが、どれも読んでいるうちにある種の高揚感を呼び覚ましてくれます。

南波健二、久保田千太郎「三銃士」

デュマによる古典の名作「三銃士」がマンガ化されたものです。
作画の南波健二さんは劇画系で時代劇マンガなどを描かれている方、久保田千太郎さんも歴史ものマンガの原作を多く担当された方ですね。

割と有名な話で私も子どもの頃に童話として読んだことがある話です。ダルタニアンと三銃士が力を合わせて悪に立ち向かうという話ですね。
本作も大まかにはその流れで、ちょっとギャグも交えつつも4人が協力して敵と戦います。

三銃士側は個性が際立つようにされていて覚えやすいですし、従者にも個性をつけてきていて広がりを持たせています。

本作は全6巻なのですがこの6巻で打ち切り状態で終わってしまっています。
知らずに読んでいて、さあ敵にはめられていたけど今度はお返しする番だ、続きがどうなるんだろう、と思っていたらなんと続きがありませんでした。これは残念。

倉科遼、勘崎順次「愛と復讐の挽歌」

裏世界を舞台にしたマンガを多く手がける倉科遼さんが原作の復讐ものです。
大学時代にラグビーでしのぎを削っていた主人公とライバルが同じ女性に恋慕して奪い合いになり、当時は主人公側が勝つのですが、その後ライバル側が政治家の父の力を使って主人公とその家族を破滅に追い込んでいくところから話が動きます。
同名のアジア映画がありますが関係はなさそうですね。

主人公の妹が突然暴行されて家族が悲嘆に暮れますが、その同じ日の夜に家が放火されて皆死んでしまうという展開。じゃあ妹の暴行って必要なかったんじゃないかと思います。なぜやったのかわからない。
ともかくこれで主人公が一時フィリピンに逃れ、そこでヤクザと手を組んで再び日本へ戻って復讐を開始します。

ライバル側とは反目する別の政治家とのコネクションを得たり、株の相場師と組んでライバル側に打撃を与えたりと、なかなかスケールの大きな展開になっていくのですが、全6巻と短かったためにそっちは中途半端に終わって復讐路線がメインになっていきます。割と主人公側の策がほぼうまくいくという展開ばかりで敵側がちょっと残念な感じですね。

この手の作品では主人公が最後に復讐を果たしても死んでしまうことが多い印象ですが、今作では珍しくハッピーエンドに向けて周囲が協力してくれたりします。結構駆け足で終わりましたし、最後の最後に世話になった人の名前をつけたという子どもの名前のエピソードなんかも結構すごい。そこまでするかって感じです。

国友やすゆき「電劇愚連隊」

「100億の男」「幸せの時間」などで知られ、2018年に死去した国友やすゆきさんの割と初期の作品。
田舎から出てきて映画界に殴り込む青年と、わがままな女優の卵が中心となった映画界を舞台にする青春ものです。全6巻。

主人公の青年は人脈も何もないところで見習いのような立ち位置からスタートしますが、早々と頭角を現し、監督作品を付くって高い評価を受けます。
女優の卵の方はわがままさから青年や周囲とのトラブルが絶えませんが、ライバル女優の事故や青年のひたむきさなどに心を撃たれて次第に真摯に演技に向き合うようになります。

タイトルが電劇愚連隊で、映画を撮る〇〇組のような集団が天下を取る話なのかと思っていましたが、活躍するのは青年と女優の卵ばかりです。タイトルに偽りありの感があります。

主人公の青年の映画はともかく絶賛ばかりでほとんど失敗らしい失敗がありません。方言バリバリであるために努力型に見せかけて実は天才ですね。女優の卵の方は家族の邪魔など試練がありますが、具体的にどう演技が良くなったのかはちょっとわかりませんでした。

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