なくしたものを探して〜とりあえずやってみました

体験主義で、実際に体験した内容と、実はよく知らないので人に聞くのが恥ずかしい、という内容について調べてみたことをもとに書きます。

Kindle安売り漫画の紹介2

time 2020/09/21

Kindle安売り漫画の紹介の続きです。

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西島大介「ディエンビエンフー」

かわいい絵柄なので何となくまったりした話かと思いきや、ベトナム戦争を題材にした血で血を洗うような闘いの記録です。
主人公は日本人のカメラマンですが、腕もよくなく戦場に来る覚悟も足りないという、いわば何もできないような弱々しい青年。ですが米兵たちの秘密を目撃して襲われかけたところを、現地のゲリラである少女に救われ、恋が始まります。

青年が戦場で生き抜いていく様子とベトナム戦争の歴史的描写がかわいいキャラクターで描かれます。
陰惨な出来事が起きているのですが、絵柄のためにそれほどグロくはなっていませんから、割と読みやすいと思います。ただキャラクターは大量に死にます。

アメリカ軍側がコテンパンにやられてしまうことが多いので、なんとなくアメリカ側を応援したくなってしまったりするのですが、一応ベトナム側が主人公ですかね。歴史に主人公も何もないだろうとは思いますが。

終盤は突然トーナメントが開催され、勝ち残りをかけてチーム同士が戦うというすごい展開に。歴史はどうなったんだって話です。「完全版」と銘打っているのに打ち切りみたいな感じで終わり。いくつもの出版社を渡り歩いた作品であり、TRUE ENDは別の出版社から出ているようです。

剣名舞、檜垣憲朗「仮面の野望」

「ザ・シェフ」が有名な剣名舞さんが原作、「ジ・ゴ・ロ」「美悪の華」などが長期連載になった檜垣憲朗さんが作画の漫画。全4巻。

幼いころの事故により離れ離れになった双子の兄弟がいました。1人は裕福な家で育って何不自由ない生活を送っていましたが、もう1人は顔面にひどい傷を負っており、貧困の中で虐待を受けながら育ちました。
裕福な家で育った方は歌手として有名になっていき、顔に傷を負った方はその付き人としての日々を送っていました。

双子ネタだと当然のごとく入れ替わりが入ってきます。やはりそういう展開に。傷を負っていた方は整形手術ですでに傷を治しており、裕福な方を事故で葬って成り代わろうとします。昏睡状態だった裕福な方は命はとりとめた、という展開。ということは後から復活してくるだろう、という予測が大体当たる展開です。

最後の部分は読者に若干想像の余地を与えますが、割と4巻でコンパクトにまとまっていた内容でした。

あきやま耕輝、伊庭晋太郎「紅いハンドル」

 
なんと舞台が自動車教習所という、かなり珍しいマンガです。
主人公はそこに女性教官として勤務しており、教習を受けにやってくる生徒たちや個性的な同僚とのエピソードが基本的に一話完結式で描かれます。

単に免許を取れるか取れないかだけの話が続くわけではなく、一話一話で考えさせられたりすることも多く、なるほどそういう切り口で来るかとかなり意外な話もありました。
かなり真面目なテーマが扱われることも多いです。家族愛だったり、過去に事故を起こしたことの後悔だったり。

特に主人公周辺では、教習を受けに来つつも謎の行動をする人物が多く、若干のミステリー要素すら含んでいるのが興味深いです。テーマが固そうですが中身はストーリー性豊かでかなり楽しめた作品でした。

柳澤一明、小池一夫「盗撮影手パパラッチ」

小池一夫さんが原作を担当しており、なんとなくどういう感じの作品なのか予想が付きますね。
カメラマン志望の若者がヤクザな兄に巻き込まれたりしつつ、写真週刊誌編集部のカメラマンとしてスクープを求めたり巨悪に挑んだりする話です。

やたらとアダルトな描写が多いですがテーマ上仕方ないですかね。
なぜか暴力団に狙われたり外国人の女性と結婚したりと、およそ考えられるカメラマンのイメージからは逸脱している気がしますが、随所でいろいろと盛り上げてくる話ではありました。

カメラマンとしての矜持とかを語る場面もちょくちょくあるのですが、この主人公があまりつかみどころのない性格なので、どこまで本心なのかと疑わしくもなり、あまり心に響かなかったですね。
ちょっと展開が突飛だったりするのが目に付きましたが、最終話でいきなり時が流れまくっているのに驚きました。あの登場人物はどうなったのか、という疑問を持ってもそれに答えは出ません。

村上和彦「極道の門 日本極道史【番外編】」

ゴルゴ13のキャラみたいな顔のヤクザが大量に出てくることで親しみが湧く「日本極道史」ですが、その番外編です。相変わらず顔の描き分けが微妙で、特に親分クラスのヤクザの顔を似せてくるのは勘弁してほしいですね。

今作は全4巻ですが連作短編ではなくある1人の主人公を中心とした長編となっています。
寺で兄貴分と共にいたところを刺客に襲われ、兄貴分を失いながらも相手の5人を斬り殺して返り討ちにした主人公の村田龍治は若干26歳。彼が極道の世界で成り上がっていく話です。

この村田は寺の住職にやたらと助言を求めに行くのですが、住職の話す内容がそのまま人生訓に使えそうで、私なんかも真に受けそうなところもしばしばありました。結構いいこと言っています。

コピーを多用しているのが面白く、1話ごとの冒頭の〇〇組の様子のページは結構使い回しが多いですし、幹部たちがソファーに座って話している様子なんかも一目でコピペだとわかります。次の次のページでコピペをやってのけるのですからたいしたものです。まあ椅子に座って喋っている様子をいちいち全部書かなくてもいいという考え方もわかりますからね。台詞さえ変わればいいのですから。

「日本極道史」の方も個人的にかなり好きな内容なのでいずれ紹介できればと思います。

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