なくしたものを探して〜とりあえずやってみました

体験主義で、実際に体験した内容と、実はよく知らないので人に聞くのが恥ずかしい、という内容について調べてみたことをもとに書きます。

演歌でシンクロニシティ

time 2019/01/08

今回は日記みたいな内容です。

私は演歌を聴く習慣がないのですが、前々から気になっている曲がありました。
藤島桓夫さんの「月の法善寺横町」という曲です。1960年のヒット曲で、私は生まれてもいません。

なぜこの曲が気になったかというと、私が偏愛するホラー作家であるクラニーこと倉阪鬼一郎さんに由来します。倉阪さんの爆笑エッセイ「活字狂想曲」(幻冬舎文庫)の138ページにこのようなエピソードがあります。

呑み会はカラオケ合戦を兼ねていた。くだんの主任さんは若いころプロを目指したことがあり、格が違うところを見せつける。正攻法ではかなわないから、飛び道具の「月の法善寺横丁」(原文ママ)をぶつけた。例によって、思い入れよろしく台詞をやっていると、客席から、
「ホ!ホ!ホ!ホ!ホ!」
と、化鳥のような声が聞こえてきた。見ると、横光君が腹をよじって笑っている。動揺してトチってしまった。

ここで登場します。台詞が入る曲なのかと思うと、がぜん興味が湧いてきました。

1曲のためにアルバムを買うか悩んだ末、TSUTAYAに行ってレンタルすることに。演歌のオムニバスアルバムでその曲を見つけて、ホクホク顔でレンタルして帰りました。

妻に「最近演歌に興味があって、アルバムを借りてきたよ」というと怪訝な顔。それもそうか。私には演歌を聴く習慣がありません。
この曲が聞きたかったんだと言い「月の法善寺横町」を指さすと、妻から「私もこの曲聴きたかったの」と、驚くような反応が返ってきました。

妻はよく私に話を合わせてくれますが、まさか演歌について「この曲が聴きたかった」というのはさすがに無理があるだろうと思います。当然ながら妻の生まれる前の曲でもありますし。

詳しく聴くと、なんと妻は本当に知っていました。
P.A.WORKSのアニメ「花咲くいろは」に登場する鶴来民子という板前に憧れる少女が、カラオケでこの曲を選曲しようとしていたというのです。この曲は若い板前が主人公の曲なので、板前繋がりなのでしょうね。

Amazon Primeで「花咲くいろは」を見られますので、該当の回を見てみると確かに「月の法善寺横町…月の法善寺横町…」と選曲しようと探しているシーンがありました。これがどんな曲なのか気になっていたというのです。

妻はアニメ好きで私より多く知識を持っていますが、よく曲のタイトルを覚えていたものです。実際の曲を聴いたわけでもないのに。

夫婦で同じ曲を探していたという、珍しい体験でした。しかも私は知る人ぞ知るエッセイ、妻は演歌から離れた位置にありそうなアニメからとは。私たち夫婦にとっても思い出の曲になりました。

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